2005年11月24日

辻村英之『コーヒーと南北問題―「キリマンジャロ」のフードシステム』

この本は「大作」です。「渾身の一作」です。すごいです。…ってかなり主観的ですが(笑)。

何でそんなふうに感じたかというと、私自身がコーヒーでなく「紅茶」で(学部時代)卒論を書いたからなんですよ。
同じというと僭越ですが、共通した狙いを持って、しかし、ここまで深く詳細に調査できて、それをこの1冊の本に纏め上げたという労力と能力を考えると…感銘、感動、尊敬の念に堪えません。

1年弱、実質時間で半年も私が卒論を書くのに費やした時間は足りませんでしたが、…自分の勉強不足、調査不足を改めて思い知らされました。
「コーヒーだから」って文献調査の対象から外すんじゃなかった(といってもこの本自体は昨年出版されたものなので私が卒論を書いていたときに入手できたわけではないですが)…。

まぁ、私が紅茶をテーマに選んだのも、自分がコーヒーは飲まず紅茶専門、それと大学のあったニュージーランドでは「ごはん(食事)」のことを「ティー」とも呼ぶ(つまり日本人にとってご飯=米食が重要であるのと同様にニュージーランドで紅茶は重要なものであるという例ですね)ということもありながら、コーヒーは他に書いている人がたくさんいるという「反動」からだったりしますが(笑)。

ここまで私が卒論で表したかったことを、いやそれ以上に精錬され、理論・一次的資料とも見事に体系付けられたこの1冊は、ただ「書いた」では済まされない、それ以上の、著者がそれまでの数年間調べて、読んで、現地を歩いて、話を聞いた足跡、その間の時間をそのまま結晶させた力作ですね。

あ、肝心の内容を簡単に紹介すると(笑)
日本で「キリマンジャロ」の名前で人気のあるタンザニア産のコーヒー、
しかしその生産者、農民がいかに悲惨な目に喘いでいるか、
自由市場とか経済自由化とか言っても、コーヒーはニューヨークの先物市場で価格が決定し
根本的な需要と供給バランスで生産者側に価格の決定権があるわけではない、
しかし農民たちは「5〜10年に1回」の好景気だけを心の拠りどころに、利の上がらないコーヒー生産を続けるより他に選択肢がない
(コーヒーの価格が下がったのを沢山作ることで収入を増やして穴埋めしようとし
流通量が増えて更に価格が下がるという悪循環)
という…
かなり端折っておりますが、これは消費する私たちにも一因があることですね。
本の中にも出てきますが、本当の自由市場というのは
売り手と買い手が完全に商品に関する情報を得ている時点で成り立つものですから
「知らない」では本当は済まされないわけです。
「安い」という価格の裏には生活に逼迫する「南」の人たちの存在があるということですね。

追記
posted by K.M. at 15:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読んでみた本 | #
 

2005年10月18日

読書記録:渡辺 利夫著『開発経済学入門』

この本は、最初に紹介した『自由と経済開発』と一緒に借りてきて、
しかしそちらを先に読み始め、しかし日帰り旅行に行くときに
読みかけのその本を事務所に置いてきてしまった為持っていけずに
こちらの本を持っていき、帰ってくるまでに1冊読破してしまった
(前者より先に)というものです。

読んだ順番は、関係していなさそうで私の感想に微妙に影響を与えています。
何故かというと『自由と経済開発』を先に読み始めたために、私の頭の中ではその本の考え方が「標準、基準(スタンダード)」になるように働き、それと意識しなくてもつい比べてしまって、「えーその上っ面だけの考え方って違うんじゃ…」とついつい疑問符いっぱいになりながら読んでしまいました。
もし読む順序が逆だったら、こんな思いで読まなかったんじゃないかという気がします。

そんな前置きしておいて何ですが、この本は、よくできています(笑)。
開発学って?開発経済ってどんな学問?と思った人が最初に手に取るには
教科書の名に劣ることなく、コンパクトでお役立ちな1冊じゃないでしょうか。

続きを読む
posted by K.M. at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読んでみた本 | #
 

2005年10月16日

読書記録:アマルティア・セン『自由と経済開発』

いきなりですが、最近本を読もうと思い立ち
(しばらくそんな文化的な生活から遠ざかってました)
せっかくなのでこちらにその感想なぞを書いてみることにしました。

記念すべき1冊目は、『自由と経済開発』。
日福大の公開講座に昨年行ったときに著者の名前が盛んに出されていて
どんなことを言っている人なのだろう?と思って読んでみました。

…今日は、まずここまで(笑)。
また詳しいことは追々書きます(笑)。

posted by K.M. at 18:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読んでみた本 | #